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最初の出会いはそんな感じ。
ちょっと話しただけ。会話という会話でもなかった。
それよりも学校の王子様的な存在の樹くんが普通に話してくるなんてびっくりした。
そして、信じられなかった。
だって、わたしはどこにでもいるような平凡女子。名前を知っていたことが不思議でならなかった。
あんな風にちやほやされる人が、みんなの名前をちゃんと覚えているなんて。
そりゃ、人気も上がるなぁと他人事のように思っていた。
それから。
何度も教室で、一人でいる樹くんに会うようになる。
忘れ物を取りに戻ると、今までは誰もいなかったはず。それがあの日を境に、樹くんはいつも教室にいた。
不思議だと思いながらも聞けずにいた。何となく怖くなって。
「七海」
「呼び捨てやめない?」
「やだ」
いつも印象に残らないような普通の会話をして、別々に帰る。それが当たり前。わたしたちは教室を出ると他人になる。
ちょっと変わった関係。
友達? なにか違う。放課後限定の友達。
うん、そんな感じ。
こうした関係を続けて二週間。
ついに、夏休みがきた――――。
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