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学校机の引き出しに手を入れると、ラブレターの存在に気付いた。
(またか……)
私、飴宮カンロは、ラブレターを一週間に一通の頻度で受け取る。
しかし、いまだに彼氏なし。
そのわけは、私には心に決めた人がいるから。
その人は、新任化学教師の加藤先生だ。
加藤先生は大学出たての23歳。爽やかで、化学式を黒板に書く姿がとても恰好いい。
「有機化合物は炭素でできており、炭素原子が共有結合で結びついた骨格を持つ。分子間力による集合体で……」
先生のお陰で化学の授業が楽しみになり、真剣に聞くようになったのと、覚えよくなりたくて積極的に質問するようになった。
しかし、この思いは伝えていない。
向こうは教師で私は生徒。この関係では恋愛御法度。私の告白で迷惑を掛けたくない。
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