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大学帰りに、偶然、加藤先生と再会した。
「先生!」
「よう、飴宮。大学は楽しいか? たまには高校に遊びにこいよ」
「そうですね。今度、行きます」
「あー、その前に、聞きたいことがあった」
「なんでしょうか?」
「ラブレターをくれたのは、飴宮だろ?」
「え?」
ばれていたことに焦った。
そんな私の様子を見て、加藤先生は確信した。
「やっぱり、そうだったんだね」
「どうして分かったんですか?」
「手紙から飴宮と同じ匂いがしたんだよ」
「匂い?」
「ラベンダーの香り。あれって、部屋に散布する消臭剤だろ?」
「……」
私の部屋では、ラベンダーの香りの消臭剤をたまに部屋に撒いていた。
「飴宮からも、同じラベンダーの香りがした。それで分かった」
「制服に移ったんでしょうか。それと、便箋にも」
「そうだろうね。界面活性剤を使用したヒドロキシ酸系消臭剤は、匂いが部屋中に移る。しかも、貼りついてなかなか消えない」
「……」
自分で自分の匂いは分からない。
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