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「ラブレターをたくさんくれてありがとう。結構、楽しみにしていたよ」
「いえ……」
そんなことかと、ちょっと落ち込む。
「君も卒業したことだし、これから僕と真剣に付き合ってもらえないか?」
「え?」
先生の言葉に、飛び上がらんばかりに驚いた。
「私でいいんですか?」
「ああ」
自分が選ばれたことを不思議に思った。
「他にも告白してきた子がいましたよね? 私なんかより、もっと積極的に」
「あれは、自分のことしか考えていない子が多かったな。それに、君のことを知れば知るほど好きになってしまって、他は目に入らなかったよ。僕の大好きな化学を、一番好きでいてくれたのは君だった」
私は、涙ぐんだ。
「よろしくお願いします。先生のこと、今も大好きです」
「もう、先生って呼ばなくていいから」
「はい……」
加藤先生の爽やかな笑顔が私に向けられている。
長かった片思いが、終わりを告げた瞬間。
お互いに『言えなかった気持ち』
今、ようやく伝えあって、AとKが共有結合で結びついた。
「家まで送ろうか」
「はい」
長い影が寄り添う帰り道。
卒業まで待ってくれた加藤先生は、思った通りの素敵な人でした。
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