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酔いしれ紡ぐ愛言葉
私には好きな人がいる。
だけど、それを中々言えずにいる。
「あー……」
ミンミンと蝉の大合唱が教室の中で木霊している中、私は暑さで溶ける様にうな垂れていた。
「理沙どうしたん? そんなとこで溶けてると人間に戻らないようにないよ」
そんなうな垂れている私をクラスメイトの愛美が私の旋毛を押しながら訊いてくる。
「もぉー旋毛を押すなぁ。えっとね、今度の土曜夏祭りあるじゃん? そこにどうしても誘いたい人がいるんよ」
「もしかして、その誘いたい人って大智?」
愛美の言葉に私はガバっと顔をあげる。
「何で知っとん!?」
「そりゃ、クラス女子は全員知っとるよ。大智と他の男子じゃ理沙の態度違うもん」
愛美の指摘にうっと言葉を詰まらせる。
「なんだぁ。バレバレかぁ……隠しとったのに」
「露骨だから、バレバレだって。肝心の大智には伝わってないようだけど? 誘ってみれば?」
「それが出来たら、直ぐにでも告白しとるよぉ」
私はまた机の上でうな垂れる。
「まぁ、確かにそうだわな。よぉし、ここは私が人肌ぬいじゃる」
そう言って愛美は教室を出て行った。
「え? ちょ、ちょっと!」
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