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「美柚!!」
門まであと十歩ほどというところで、己の名前を呼ぶ声が聞こえてくる。
それとともに、先ほど視界に入っていたアルテミスがぶんぶんと手を振り、囲まれていた女性陣に礼儀よく挨拶すると、こちらに突進してきた。
「会いたかった」
目の前でエメラルドの瞳が自分を映したかと思えば、しっとり囁かれ、思わずアルテミスを凝視する。
視線はがっつり自分に向けられており、凛と佇みながら穏やかに笑う金髪王子の姿に、んんっ? と美柚は首を傾げた。
────レンとジンではなくて、私?
まず、自分に向かってくるということに違和感を覚えながら、するりと長い手が伸びてきたかと思うと、ふんわりと絡め取られ、いつの間にかアルテミスの腕の中にいた。
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