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1-1 ささやかな願い
青々とした草原が広がり、小さな可愛らしい花がところどころに咲いている。
草花が近く、己の足も小さく、時々視界に入るひらひらした黄色いスカートが、楽しそうに踊っている。
後ろから追いかけてくる足音も、ととっととっと軽やかで楽しげなリズムを取っていた。
鬼ごっこでもしているのだろうか。
相手が手加減をしてくれることを知っているのか、視界は花や蝶やと気になるところへあちこちといく。
それでも、後ろから追いかけてくる足音を気にして、ときおりスピードを落とし足音を小さくして耳を澄ます。
その足音が近くなれば、自分も足を早める。
どこまでも続くように思える野原はとても広く、遠く向こうには木々が茂り森があることはわかるのだが、そこまで走ろうとは思えない広さだった。
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