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1-2 平穏とは
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涼やかな気温と気候の中、学校がある坂を三人並んで歩いていく。
周囲の視線は相変わらずつきまとうが、その辺は美柚ももう慣れた。なので、何も心乱すことなく上っていたのだが、門の前に見慣れた人物を見つけ美柚はそっと両側を窺った。
────あっ、うん。そんな感じね……。
紅夜薗兄弟──レンとジンは、視界に入っているであろうものは見えていないように視線を真っ直ぐ向けている。
彼らが相手にしないのに、先に自分の方が視線が合ってしまったらややこしそうだと思い、美柚もすぐさま視線を前へと戻して、さて自分はどうしようかと足だけ動かした。
だが、んー、と考えるまでもなく向こうが先に行動を起こしてきた。
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