アクリルの上で火花が散る

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 どの魚がどの魚とカップルだとか、そういうことを、この青い世界はどうやって管理しているんだろう。(あら)ゆる生命の世界は不思議に満ちている。魚だって、人間だって、きっとそうだ。 「高校三年生の修学旅行で水族館だなんて、子供染みているなって思ってたけど、面白いね」  青い世界を見上げる君の呟きに、僕はコクリと顎を引く。 「何なんだろうね。無条件に惹かれるよね」 「そうだね。こんな形で狭い空間に閉じ込めちゃっているのは申し訳ない気もするけど、惹かれちゃうね。何だろう、これ?」  そう言って左手を口元に当てて、君は少しだけ首を傾げる。広げた君の右手は手摺の上に置いたままだ。指輪の光る伸びた右薬指。僕の左中指は真っ直ぐにそこに向かって伸びていて、手摺はきちんと親指と小指が握っている。また火花だ。 「何?」 「う~ん。……なんか、いい言葉が見つからないや」  君は茶目っ気たっぷりの瞳で申し訳なさそうに肩を(すぼ)めた。 「そっか」 「うん、そう」  そう言う君の肩越しに僕の親友の姿が見えた。  柾尋はカメラのファインダーを覗き込んで、水槽の世界のベストショットを撮ろうとしている。右肩からは売店で買ったお土産の袋が二つぶら下がっている。柾尋の分と、君の分だ。「優しい彼氏だな」って、いつも思う。     
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