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かなしみのなみだ
植物が芽吹くように、そして萌え広がり繁茂していくように、その病は私を蝕んだ。
きっかけは踵の角質だった。
夏だし、サンダルとか履く時きれいにしておきたいとある時お風呂場で、よくよく見た踵の角質が変な色の(変と言っても宝石みたいにきれいな)鱗みたいなモノが出来ていて無理に剥がしたら、酷く血が出たので病院に行った。
告げられた病名は"花卉宝石化型症候群"別名ストーンシンドロームと呼ばれる。中、高校生の男女がかかる奇病で、恋をしてこがれて発症するのだそうだ。
病気には段階と段階に応じた薬があり、しかしそれは恋を叶えなければ難しい代物となっている。
第一段階は爪、髪の毛、角質などが宝石化していき、対応する方法は、ぞくに愛のくちづけと言い。想い人の唾液となる。
第二段階は、皮膚が徐々に薄く宝石化していき、対応する方法は、ぞくにかなしみのなみだと言い。相手の涙になる。
第三段階は、細かくすれば二段階で、まず歯などエナメル質と骨が宝石化していく。そして最後に内臓が宝石化して死ぬ。対応する方法は、ぞくに殉ずるたましいと言い。相手の多量の血液となる。
そんな説明を聞いて、死ぬ前に告白する!なんて気概もわかず。自分は延命をその時点で諦めた。
ただ、うまく全身宝石化すると、闇世界では高値の付く宝石となるらしいので、診察してくれた医師の研究目的の献体希望の書類だけもらった。
◇◇◇
ーーその晩、珀亜が私の部屋にやって来て。思わぬ事を告げた。
「俺は、石喰いと言う人外なんだ。基本石を喰って生きてる、後悲恋も好物で記憶も喰う。」
「俺は、石喰いだから、珠々お前がストーンシンドロームにかかった事は分かった。別にお前を喰わせろと言う訳じゃない。病の事も知ってるし俺たちとも仲良くしてくれているし、出来る事があればするぞ」
申し出はありがたかったが断った。
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