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 一息ついて、もう一度、おじさんの写真を見上げた。この写真を見つめるのも最後だ。    あの高校一年生の、最初の二者面談の日。音楽室でこの写真を気にかけなければ、知らなかったことがたくさんある。おじさんと室伏さんがきっかけで、音楽に興味を持つようになって、この三年間は目標を持って熱く過ごせたと思う。私の顔は、きっと教室と音楽室では全く違うだろう。  もう大学でも吹奏楽部に所属することを決めている。一生の趣味にしたいと思うようになっていた。 室伏さんが出て行って、また一人になった音楽室で、私は成木先生の写真に一礼をした。 「私をこの世界に連れてきてくれて、ありがとうございます」  はじめて、白黒写真の中のおじさんが、少しだけ、ほほ笑んだように見えた。
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