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あのまま室伏さんに言い含められて、私は入部届を出し、クラリネットをはじめた。
そして三年間、成木先生三昧の部活生活を過ごした。
初めて触る楽器は難しくて、音を出すだけでまず一苦労だったけど、あのおじさんの曲を演奏したい、おじさんのことを知りたい一心だった。
成木作品、と呼ばれるおじさんの曲は、どれも聴けば聴くほど、情熱的で、心が躍った。
おじさんは、どういう気持ちでこの曲を作ったんだろう。どうやって、演奏してほしかったんだろう。何度も直接聞けたらと思った。だけど、とうの昔、私が生まれる何年も前に、おじさんは亡くなっている。
写真の中のおじさんは、相変わらず何も語らなかった。その代り、夢中で楽譜をたどって、指示通り、音を出せるように練習した。
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