68人が本棚に入れています
本棚に追加
「1年前、あなた達の裏切りを知った後のパパの沈みようといったらなかったわ。あたしはあんな悲しく辛いパパを見たの初めてだった。パパにあんな思いをさせた、あなた達を許せなかった」
視線で射殺さんばかりにサエカはユウコを睨んだ。
「でもね、あたしが何が出来るの? それこそあたしはあなた達の裏切りの証拠で結晶なのよ。あたしがいることで、パパは苦しくなるの、苦しめてしまうのよ、あなた達のせいで、あたしがパパを苦しめてしまうのよ」
ユウコは何も言えなかった。ただうつ向くしかなかった。
昂りをおさまるのをサエカは待ち、言葉を続ける。
「思いきってね、パパに本当の事を話したわ。私はパパの子じゃない、スギヤマとあんたの子だってね。それを聞いたパパにおもいっきり叩かれたわ、生まれてはじめてパパに叩かれたの」
その時を思い出したのか、サエカの声は潤んでいた。
「壁まで吹き飛んだ私を見て、優しいパパに戻ったけど、それでも私に触ることをためらった。それがあたしを、あたし達を、よけい苦しめたのよ」
サエカの泪が零れる。
最初のコメントを投稿しよう!