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「あたしも変わりたかったの、娘としてのタドコロサエカでないあたしに変わりたかった。泣きながらお願いしたの、パパ、一緒に生まれ変わりましょうって。そしたらパパは私を抱いてくれたわ、パパも泣きながらね
初めてだったけど怖くなかった
だってパパが私を愛しているの誰よりも知っているもの 解っているもの
パパは私を愛してくれたわ、この肢体を! 心を! 想いを! そして私はそれをすべて受けとめたのっ! 」
サエカはユウコの後ろにまわると、下腹をユウコの顔の横に付けた。
「だからここにその結晶があるの、あたしは娘のタドコロサエカじゃない、タドコロシンヤのオンナとしてのタドコロサエカになったのよ」
思いのたけをすべて話せたのだろう、サエカはいつの間にか涙がとまり、うっとりとした顔になっていた。
少し経ってからサエカはユウコから離れると、ふたたびユウコの前に立ち、モニターに視線を移した。
モニターにはソファに座り、目の前のテーブルに並んでいる3つの書類の前で固まっているスギヤマの姿が映されていた。
「あとはね……」
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