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スギヤマが書類に記入したのを確認したタドコロは、スギヤマを解放した。スギヤマはそそくさとモニターから姿を消した。
「どうやら向こうは終わったみたいね」
ずっと下を向いていたユウコは、その言葉で顔をあげモニターを見た。
拘束されているので涙をふけずにいたが、それでもスギヤマの姿がないのは確認できた。
カチャ
ユウコはビクッとする。誰かが部屋に入ってくる気配がしたが、振り向いて確認する勇気はなかった。
「パパ」
いとおしい人に甘えるようにサエカは声をかけた。
部屋に入ったタドコロはサエカの姿に少なからず驚いたが、無言のまま書類をサエカに差し出す。
それを受け取り、内容に目を走らせると笑いだした。
そのまま笑い続け、ついには崩れるようにしゃがみこむ。それをタドコロが優しく抱きしめる。
「もういい、身体に障る。サエカ1人の身体じゃないんだから」
「ううん、大丈夫よ、パパ。ちゃんとやるから」
サエカ達は立ち上がり、抱擁して唇をかさねる。ユウコにみせつけるようにサエカは深く長いキスをするが、2人を見る勇気のないユウコはうつ向いたままだった。
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