梅雨明け

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 女の子が死ぬ間際に、あたしに手渡した光の玉……あたしが今まで夏だと思っていたのは、これを運ぶ為のモノで、本当の夏は、この光なんだ。  夏は一旦、あたしの体の中に入った。あたしの体は、夏の太陽のような白金色に輝くライダースーツみたいなモノに包まれた。あたしの目の前には、見た事も無い夏空色の乗り物…あえて言うなら空飛ぶバイク…が出現していた。  視界に梅雨が居る方向と距離、そして地図が現われた。地図上では梅雨は黒い大きな点で表示されており、梅雨が今居るのは駿河湾だ。  梅雨の居る方角に目を向けると、梅雨の現在の状態を現わす数値が次々と表示される。どうやら、あたしの前任者達は、思ったより大きいダメージを梅雨に与えくれていたようだ。  あたしと同じく、夏を受け継いだ人達が、1人、また1人と、梅雨に向っていく様子が地図上の白金色の点として表示されている。  あたしも空飛ぶバイクに跨ると戦いに向った。  今度こそ、この滅びゆく島国に夏をもたらす為に。
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