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「お姉さん、驚いちゃった?」
でも、可愛いからいいかな。
「少し驚いたけど、大丈夫。喋れるなら、色々と話せるね?」
「なあ、おめえさんまだ酔ってるのか?」
ネコにそう言われると、そんな気分になってくる。確かにまだ酔っ払っているのかもしれない。
「いいじゃん。気楽に話そうよ。気楽に」
私は玄関に置いてあるコンビニ袋に気付く。
彼女は私の反応を見て、それを持ってきてくれた。
私は笑顔で受け取り、酎ハイの缶を取る。やっぱりよくしつけられている。
「お腹空いてない?」
気分が良くなった私は何かお礼がしたくなる。よく考えれば、昨日から何も食べてないかもしれない。
「えっと、何があるかな」
コンビニの袋を漁る。完全に何を買ったか記憶にない。
彼女は「飴がいいな」と遠慮するが、絶対にそれだけじゃ足りない。栄養バランスも悪い。
「あっ、これなら」
やっと何か見つけたと思ったら、お惣菜の肉じゃがだった。
私の顔はさっと青くなり、慌ててそれを袋に戻す。
「――お姉さん?」
彼女とネコが心配そうに覗き込もうとしたので、私は袋を抱えて全力で後退りをした。
共食いは良くない。私だって魚料理を食べるのは気が引ける。いくら異郷の高級料理といわれても!
しかも、魚と私は色々と根本的に違うけど、この肉じゃがは完全なる同種族だ。
私はこれを食べさせる残酷さも、目の前で食べる度胸もない。ペットを飼うとなると、ベジタリアンになるのが心情的に無難だろう。きっと。
「あっ、ケーキだ!」
考え込んでいると、私が抱えていたビニール袋はなくなっていた。
いつの間にか、彼女たちに盗られていた。彼女は嬉しそうにニンジンのモンブランを持っている。ちょっとこれはしつけがなってないな……。
そして、私を見た。要求は明らかだ。
おばあちゃんからよく『ニンゲンに砂糖なんかあげてはいけないよ。特にケーキなんてあげた日には……』と言われていたことを思い出す。
それはある言い伝えのせいだ。大昔、ニンゲンは地球の支配種族だったから、そこから派生したものだろう。
確かニンゲンが砂糖を食べると、次々と不可解なことが起きたって話だ。急に竜巻が発生したりして、数名のニンゲンが次々と戦況をひっくり返していったとか。まあ最終的にはこっちが勝つんだけど。
でも、そんなの迷信だ。あまりにもファンタジー過ぎる。
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