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星林堂の少女
平成最初の夏、松平慧一は高校生だった。娯楽といえば、本を読むか衛星放送で録画した映画を見る程度だったあの頃、いつもの習慣でのぞいた本屋で、慧一は彼女に会った。
講談社、ブルーバックスの棚のところだった。
『毒物雑学事典』
ミステリ好きでもあった慧一が思わず伸ばした手と、彼女の手が合ってしまった。
驚いて、手を離し、手の柔らかさにドキドキしたのは、まだ梅雨の、紫陽花のキレイな季節の事だった。
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