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女子も、ああいう本読むんだなあ、と、当時の慧一は驚いた。中学の頃は、女子とは没交渉だったし、雑誌を見て騒いでいる女子達の手にあったのは、洋画だったり音楽だったり、小説といえば、ピンクやパステルカラーの背表紙の文庫本だと思い込んでいた。
そんな慧一から見ると、彼女は少し風変わりに思えた。
けれど、話をしてみると、横溝正史が好きだとか、(赤川次郎では無く、赤川次郎ももちろんおもしろいが、慧一はどこかおどろおどろしい表紙の横溝正史を好んで読んでいた)バタリアンの話を女子とできると思っていなかった。
「知ってるの? オバタリアンじゃなくてだよ?」
当時、図々しい中年女性をバタリアンとかけてオバタリアンという造語があった。そちらを知っている人は多かったが、元ネタになった映画の方を好きだというのは珍しい事だ。
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