盛夏

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かくして、二人しか受講者がいない補講が始まった。 朝、いつもよりはのんびり学校に来て、ひたすら勉強する。分からないところがあれば聞きに行く。お昼やおやつは適宜とる。ひたすら勉強して、夕方になったら帰る。 基本、毎日その繰り返し。 自習したい人には別の教室が開放されていて、補講組は完全に隔離されている。 教室に二人しかいないのだから、どこにいても同じことだ。後ろの席で居眠りしても、どの道すぐにバレる。 「だったら潔く前にいようよ。ついでに私の隣があいてるよ」 バシバシ机を叩く彼女に渋々頷いてからなんとなく定位置になって、俺たちは二人並んで、一番前の真ん中の席をいつも陣取っていた。 「ねえねえ、今どこ?」 「問八」 「うっそ速いよ! 私まだ問三なのに!」 「……いや、遅すぎだろ……」 彼女はやたらとアホだった。 俺は解答欄がずれただけで、本当は平均以上は取れる。 大抵赤点にはならないし、一桁なんて初めてとったくらいには、そこそこ真面目に勉強しているつもりだ。それに、数学なら本来得意科目だし。 でもこの隣の人は、ちゃんと勉強したけど本気で分からなくて、真剣に解答して八点を取ったらしい。 ……それは、どう考えても、どう考えてもやっぱりヤバい。いろいろ大丈夫なんだろうか、このひと。
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