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人生100年時代という。
普通に生きていれば80歳くらいまでは生きられる様だから、そう大して昔の事ではないのかもしれない。しかし僕にとってはもうずうっとずうっと昔に思える10年も前の事だ。
恋は大雨土砂降りハリケーン。
まだ8歳だった僕の脳髄を雷の如き衝撃が突き抜けた。それは本当に突然の事。あまりにも唐突な災害にも似た強烈な邂逅。
初恋を知らぬ僕の初恋であって既にそれが最後の恋であると定められている運命の出逢い。
人を翻弄し押し流し人生を暴力的なまでに決定づける、あまりにも巨大な世界の流れというものを垣間見た瞬間であった。
少女は無邪気な笑みで倍よりもっと背丈のある僕をにこにこと見つめていた。
小桜雛子、未だ3歳のとき。
僕は妹よりもっと小さな彼女に恋をした。
ロリコンという言葉は随分後になってから知った。それからは病気になる程頭を悩ませた。実際、世間一般に健全な趣味趣向の人間を健康体と称するのならば、この僕は病人に違いないのだ。自分の頭を疑って煩悶と眠れぬ夜を千夜も二千夜も繰り返した。
けれど確認できたのは雛子への想い一つであった。
へい、僕の小桜雛子。
「愛してるぜ!」
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