告白をする日

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「あのう・・・、まずはお付き合いから」 そうだった。 「やっぱりまだ十三歳で中学一年生なので・・・」 「あ、うん。勿論!」 間抜けに頷くと、呆けていた様子だった雛子が急に表情を取り戻して「にんまり!」と笑みを作った。 「兄ちゃん!本気!?」 けらけらと体を揺すって笑う。雛子は笑い転げた。 「私、子供なんだけど!」 ひいひいと可笑しそうに雛子は腹を抱えて転げ回る。  恥ずかしい。だが、雛子らしい。僕の想ってる雛子だ。 「私の事が好きだって?」 「・・・うん」 「ずっと昔から?」 「・・・うん」 「本当にずっと?」 「ああ、そうだよ」 雛子が笑いを抑えて溜息を一つ。  さっき抱えて走っていた時の様に首に両腕が回されると頬に唇が当てられた。 「馬鹿。早く言ってくれれば良かったのに」 「いや、もう少し大きくなってからと」 「・・・変態」 「ごめん」 ふふふ、と雛子が笑う。あれ、マスカラが頬に流れて黒い染みを作っているぞ。黒ずんだ涙はぽたりと一滴、僕のスニーカーの上に落ちてやっぱり黒い染みを作った。  校舎側、我が校の同窓達からは歓声が上がっている。だが、校門側は・・・。  やばい。完全にやばい。  ・・・・・。  だが、もういいか。雛子に言う事言ったし、18年分、この一瞬に価値があって満たされている。  そう。もういいんだ。怖気るよりも満足しようじゃないか。その方がきっと粋だ。  僕は走った。こちらへ向かってくる不良の集団へ向かって。相手の中で、現場服のモヒカンが先頭を切ってこちらへ突っ走ってきた。  いいんだ。これでもういいんだ。  おかしな僕のおかしなフェアウェル・パーティー。  サンキュウ雛子。サンキュウ皆。先生方も遅いけど恨みません。  グッバイ!アディオス・アミーゴ!  僕は満身の力を籠めて右の拳を振りかぶった。  モヒカンは大きくバットを振りかぶる。  さあ、行くぞ。ようい、・・・ド。
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