0人が本棚に入れています
本棚に追加
「でも、私も途中から不純な気持ちが芽生えてしまいました 」
どうしても声が震えてしまう。
「初めは先輩のプレーを見て選手として好きになりました。けど、県大会の決勝の前にミーティングで言ってた事を聞いて、どうしようもなく先輩に惹かれてしまいました。その日から異性としても好きになって、先輩の夢を一緒に見たいって思うようになったんです 」
恐る恐る先輩を見る。
「そっか、白崎も俺のこと好きでいてくれてたんだ 」
「幻滅しないんですか 」
「ああ、普通に嬉しいし、それになにより白崎のサッカーが好きな気持ちは嘘じゃないからな。だろ 」
「はいっ、大好きです 」
「むっ、俺とどっちが好き? 」
「なっ、先輩それはその嫉妬は子供っぽ過ぎますよ 」
「そうだな、ははっ 」
2人は顔を赤くし笑い合う。
「不束者ですがこれからも宜しくお願いします 」
照れながらも嬉しさを噛み締めていた。
「こちらこそよろしくな 」
「でも、まずは全国優勝からですよ先輩 」
「もちろんだよ。絶対、優勝を勝ち取ってみせるよ 」
「はいっ、私も全力で支えます 」
「これから見せてやる俺の、俺達の夢を。特等席でな 」
先輩がニカッっと笑う。
うるさかったはずの蝉の合唱は、私達の夢の門出を祝うかのように今日一番の音を奏でた。
最初のコメントを投稿しよう!