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カラスの祭り 一日目
時計を見ると、既に18時を回っていた。祭りが終わり、公園の広場は、さっきまでの賑わいを忘れたかのように閑散としていた。ただ、蝉だけが律儀に、未だ喧騒を演じている。グラウンドには、誰かの食べこぼしや、色の付いた紙屑などが点々と散らばっており、西日がそれらを虚しく照らして居た。
公園の傍では、二人の男たちが、白いワゴン車に最後の什器を積み終え、車を発進させる。いよいよ、ここには僕だけしか居なくなった。
ふと、黒い影が僕の頭上をかすめたので、驚く。影は僕の二メートル程手前に、勢い良く着地したーーカラスだ。カラスは、誰かの食べこぼしたフライドポテトを啄むと、興奮したように大きな羽をばたつかせた。
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