カラスの祭り 二日目

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「そうなの?いつも此処に来て描いているみたいだけど。」 「絵を描くのは口実みたいなところもあるかな。一人になるための。なんとなく、家にも何処にも居たくない時に、此処に来るんだ。でも、何もしないでぼーっとしてたら、もし誰か来た時に、不審に思われちゃうし。」 「それにしても上手だよ。あ!私、此処に居て迷惑じゃない?」 「全然!そんなことないよ。」 しまった、彼女に気を使わせてしまった。話題を変えよう。 「君、、は確かお父さんの用事で、此処に来たんだよね。こんなところに用事って、一体何?」 ”君”という、使い慣れない二人称を使ったのでむず痒い。そういえば、名前を聞いてなかった。 「うん。用事っていうのは、取材だよ。取材旅行。記者なんだ。」 「へぇ。」 ふと喉が渇いたので、水筒を取り出したが、中身は既に空だった。 「ごめん、ちょっとそこの自販機まで行って来ていいかな。喉が渇いちゃって。」     
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