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彼女の言葉に、僕は首を傾げる。
「そうかな、普通の住宅街だけど。」
「私がいつも居るところは、人が本当に少ないからね……。」
何処かの、田舎の方からでも来ているのだろうか。
「さっきのあれなんて、本当に人が沢山で驚いた!お祭り?私も行ってみようかとも思ったけど、やっぱり人が多くて怖くなっちゃって。遠巻きに見てたの。」
どちらかというと快活そうで、僕みたいに人見知りをするタイプには見えないのに。少し意外に思った。
「あれは、地元の子ども向けの小さいお祭りだし、大したことはないはずだよ。もっと本格的なお祭りになると、人混みも大変なことになるけど。」
彼女はそれを聞くと、へぇ、と小さく呟き、一つ身震いをさせた。
「いつも此処で絵を描いているの?」
「うん、夏休みに入ってからは、ほぼ毎日。」
「私、あと数日はこの近くにいられるんだ。暇だから、また此処に会いに来てもいい?」
「もちろん!」
つい心が浮き立ち、勢い良く返事をしてしまったことに、顔が熱くなる。
「……ちなみに、いつもは昼の2時頃から此処に来てる。」
「ありがとう!それじゃあ、今日のところはそろそろ失礼するね。」
気がつくと、辺りはすっかり暗くなってしまっていた。
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