いつもの二人

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大学を卒業後、卒業した大学の近くの大学で事務職員として就職をした。学生の就学や大学院への進学の斡旋、新入生の勧誘などを主にやっている。 残業はあるものの、土日は休みだし待遇も悪くはない。気が付けば就職して3年が過ぎようとしていた。 同期とも仲はいいし、嫌なお局も特にはいない。唯一、文句があるとすれば辺鄙なところに立っていることだ。 国立大学だからなのか不便極まりない立地に職場はあった。駅から急な坂道を登り切ったら、ようやく校門が見えてくる。その校門を抜けたら校舎と言いたいが、そこからさらに階段を100段近く登らなければ、ゴールには辿り着けない。 ヒールを履いてくるなんてもってのほかだが、身長が150センチしかなく、それがコンプレックスな私は、駅でスニーカーに履き替え、坂と階段を登り切ったら、10センチのピンヒールのパンプスに履き替えるようにしていた。 背が高い方が、ヒールを履きこなしている方が出来る女になれた気がする。気だけでも日々忙しなくすぎる毎日を過ごすためには、大切なことなのだ。
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