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体が怠い。腰が痛い。
朝起きて、約束通りホットケーキを焼いた。伊都は洗面台で支度をしている。一応、替えのシャツなどは私の家にも置いてあるので、それを着用した。
まだ昨日の感覚が抜け切れていない。伊都の方はけろっとしていたけど。
「伊都ー!ホットケーキ焼けたよ。」
蜂蜜とバターをのせて。それからコーヒーとサラダも用意しておいた。
「サーンキュ。やっぱり朝はホットケーキだよな。」
いやいや、朝からは甘過ぎるでしょ!と言いたくなる。洗面台から戻ってきた伊都はすっかり仕事モードだ。髪もワックスで散らして、レモン系の爽やかな香水の香りもする。
「俺、自分の仕事場に寄ってから行くから、先に出るよ。」
「うん。分かった。」
さすがに一緒に通勤したら、優香や美来ちゃんに突っ込まれるに決まっているので、そっちの方が私も助かる。
「ねぇ、伊都……」
迷惑かなと思った。重いかなとも。でも……
「お弁当作ったの。もし良かったらお昼に食べて。あ、迷惑なら置いていってくれたらいいから……。」
キョトンとした伊都の顔。だって心配だったんだもん。たいしたお昼ご飯を食べていない気がして。
「寧々」
伊都は席から立ち上がると、私の手にするお弁当を受け取って、唇に優しくキスをしてくれた。
「ありがとう。」
うーっ……。その顔は反則だよ。あのホットケーキを喜んで食べていた時と同じ顔をするなんて。
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