飲み会での二人

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**** 幼い頃の夢を見た。私と伊都はシングルベッドに横になっていた。まだ4歳の私たち。一冊の絵本を二人で頭を引っ付けて読んでいた。二人が着ている色違いのパジャマは私達の母親が買ってきたものだ。 幼稚園から小学校卒業までの頃は、週末はたいていどちらかの家にお泊まりをするのが常だった。伊都と同じ部屋で本を読んだりゲームをしたりして、最後にはひとつのベッドで一緒に眠った。伊都はいつも手を繋いでくれた。 それでも小学校高学年になると、お互いの親から一緒に寝ることを禁止された。母親たちは私たちがもう今までの関係ではいられなくなると言うことを察していたからだ。 子どもの私にはそれが納得できなくて、親の目を盗んでは伊都のベッドに潜り込んだ。伊都は拒否しなかった。私を受け入れてくれて、二人でお喋りしながら眠りについた。 でも…… 今でも覚えている。あれは寒さが厳しい日だった。小学校6年生の私は、その日も親の目を盗んで伊都の部屋に行った。 学校ではもうほとんど話さなくなっていた私たちだったけど、家に帰ればまだ一緒に遊ぶ仲ではあった。
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