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『そうか。あの時の忠告はこういう事だったのね』
「そういう事だ。何となくしか分からないから、具体的には伝えられなかったけどな」
まあ、具体的に伝えられたとしても、親しくもない彼から言われて私も信じたかどうかは疑問だ。
そもそも私は霊感と言うものを信じていない。
いや、今となっては「信じていなかった」と過去形にせざるを得ないか。
『それにしても、鬼頭くんて【視えちゃう人】なんだ』
「視えると言うより、感じるんだ」
『感じる?』
「そう、感じるだけ。今のお前の事も、正直はっきり視えている訳じゃない。予知だって同じだ」
何だかよく理解できないが、実際こうして話せている。
『でも、声はしっかり聞こえてるよね?』
「そうなんだよ、声だけは聞こえちゃうんだよなあ……」
そう言って大きな身体を丸めて頭を抱えた。
どうやら彼には彼なりの苦悩があるようだ。
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