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「だから普段は隠してるんだ。聞こえる事が分かると、すぐに救いを求めて魂が群がって来る。おれは霊能者でもなんでもない、ただの一般人だってのに」
果たして、霊が視えても霊能者とは言わないのか……?
その辺の区別は私にはよく分からない。
けれども、そんなぼやきを吐く鬼頭くんに、私は違和感を持った。
『じゃあ、どうして私にはあんな助言をしてくれたの? まあ、結局はこんな事になっちゃったけど』
「それは……やっぱりクラスメイトがそう言う目に遭うって分かってて、放っておくのもどうかと……」
彼はぼそぼそと口ごもりながらそんな事を言う。
ぶっきらぼうに見えて、何とも優しい心根の持ち主ではないか。
『へえ~、ありがとう。鬼頭くんて優しいんだね』
「え……」
そんな一言に鬼頭くんの顔は真っ赤になった。
意外だ……ギャップ萌えというやつだろうか。強面のその顔が、何だか凄く可愛いく見える。
そんな時、学校のチャイムが聞こえて、私達ははっとなった。
『しまった、遅刻しちゃう!』
「いや、今クラスはそれどころじゃないだろ。お前の事で大わらわな筈だ」
突然、私はその一言で現実へと引き戻された。
そうだ、もう学校なんて関係ない。
だって、私は死んじゃったんだから――
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