大好きなひと-彼女Side-

5/5
418人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
 こういう方面に鈍すぎて、彼氏がちょっと可哀そうよと。  友達に頭をぽんぽんされる事が多い私でも、さすがにぼんやりとだけど全容を把握する。  "僕の彼女"  "優先順位は何よりも彼女"  私にはとても幸せな言葉で。  きっとあの先輩にとっては、辛い言葉。  テナントの一つを曲がって、先輩が見えなくなったところで彼のシャツを引っ張る。  「ん? どうしたの?」  足を止めて私を見下ろして来る彼に、一言。  「すき」  それは、私達二人の合言葉。  「…」  「すき(キス)」  待ちきれなくて、もう一度言った私の唇に、彼の唇が短く触れる。  瞬きの後、再び目に入れた彼の顔は、手で半分隠されていたけれど、きっと私よりも赤かった。  誠実で、優しくて、  「死にそう…」  意外とシャイな彼は、  絶対に誰にも譲りたくない、  大好きな、私の彼氏です。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!