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――――
「・・・あ」
靴箱の前で、彼の姿を誰よりも先に見つける事が出来たと思う。
黒の髪と黒の瞳。
細身だけど、バスケで鍛えているしなやかな体には、シンプルな白シャツと黒のスラックスがとても似合っている。
学校指定のカバンさえ、凄くお洒落なアイテムに見えるから不思議。
「久しぶりに一緒に帰ろうか?」
思いもしなかったお誘いに、私は嬉しさのあまり何度も頷いて、
「カバン、貸して」
クスクスと笑いながらそう言った彼は、私からカバンを奪えば直ぐに、自然に手を繋いでくる。
周囲から、小さな悲鳴みたいな声が上がった。
「…」
指先が、ほんの少し絡んだ感じ。
困ってしまう。
きっと、私の心臓の音が、そのまま彼まで繋がっている。
「可愛い」
彼の言葉に、恥ずかしくて、泣いてしまいそうになった。
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