クッソ失恋野郎、乙である。

5/8
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
そんなこんなで夏休みは秒を読むよりも早く過ぎていく。 そしてなんだかんだで仲良くなってしまった三奈と私と岬。 三奈なんてまだ一言しか喋ってないのにな、おっと、これ以上は危険だ。 夏祭り、課題、海、課題、プール、課題、渋谷、課題。 夏休みの宿題一日で終わらせる同盟はどこにいったんだろうか、謎である。 そして私は今、図書館で三奈の課題を付き合っているのだが…… 「はぁ……バカね。 散々余裕とかほざいていたのはどこのどいつかしら?」 「ああ……わりぃ。 助かる」 「ふふ、珍しくちゃんとお礼が言えるのね。 その成長が私は嬉しいわ」 微笑みながらそう言ってみると、彼はペンを走らせる手を止めて渋い顔をした。 「うっせえよ……俺はガキか何かか?」 今日は夏休み最終日、そして岬ちゃんは例の先輩の告白を受けにいっているから不在。 この男と二人というのは……初めてかしらね…… 少しずつ早まる鼓動は、押さえようとしても収まるわけがなく、私は初恋の訪れを悟るばかりであった。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!