クッソ失恋野郎、乙である。

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「自転車で来てたのね」 私は彼の後ろにちょこんと陣取った。 本当は2人乗りの時の横座りは運動神経の悪い私だと酷なのでやりたくはなかったが、ずっと憧れていた彼の背中だ。 少し格好をつけたかった。 初めての男子との2人乗りがこんな状況でだなんて、全く私は不幸な女である。 街頭が五メートル置きに置かれている人通りのない山道を、彼の自転車が走り抜けていく。 既に完全に日も落ちた道を照らすには、自転車のライトじゃ心許ない。 こいつはこの年の夏、私よりも不幸だった。
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