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「こ、ここは・・・どうなってるんだ・・・?」
男は自分が置かれている状況を飲み込むことが出来なかった。それは男の理解の範疇を超えた現象であった。先ほどまで自分は、閑散とした都会に佇むアパートの一室にいたはずだ。目を開くまで、部屋の時計の秒針の音や、車が家の近くを走る音が聞こえていたはずだった。だが現在、自分の目には広大な自然が映っている。木々は青く、心地よい風が頬を撫でた。空気は都会とは比べ物にならないほど清らかであり、鳥のさえずりが聞こえる。何よりも男を驚かせたのは、空であった。空は青く澄んでいる。が、そこには、地球から見える月や太陽とは比べ物にならないほど巨大な惑星が浮かんでいたのである。巨大な緑色の惑星である。しかも一つだけではなく、いくつものい惑星が空に色とりどりに広がっていた。自分が立っているこの星が地球ではないのは確実であった。
「そ、そうか。これは夢だ。こんなの現実なわけがないじゃないか・・・」
男はそう言って自分の頬をつねった。これが夢なら痛みはないはずだ。しかし、頬にはしっかりと痛みが走った。
「これは夢じゃない・・・なら俺は本当に・・・異世界に来たっていうのか・・・?」
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