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ある日、一郎はいつものようにパソコンを開き、ネット掲示板を漁っていた。一郎がパソコンを開くときは、たいていネット掲示板を見るのである。いいかげんこの生活にも飽き飽きしてきたなどと考えていると、「異世界の行き方教える」と書かれた掲示板が目に入った。 「異世界ね・・・」 一郎はオカルトや都市伝説に理解があった。昔からファンタジー小説や漫画、ゲームに触れていたこともあり、そういった知識は豊富だった。 その掲示板には異世界への行き方が書いてあった。これが本当かどうかは定かではないが、掲示板には「実際にこれを試した友人が異世界に行った」「不自然な行方不明事件はみんな異世界が関係している」などと書かれ、書き込みに共通していたのは「異世界に行って帰ってきた者は一人もいない」というものであった。 「面白い」 一郎は日々に退屈していたことや、刺激を求めていたこともあり、この書き込みを実際に試してみることにした。彼はこの手の話は好きだったが、完全に話を信じているわけではなく、暇つぶし程度に考えていた。 異世界に行く方法は非常に簡単なものだった。 まず、大きなサイズの紙に魔法陣を描く。魔法陣は描くには少し複雑なものであった。そして、魔法陣が描かれた紙の上に立ち、目を瞑り念じる。これだけであった。 「これだけ?はは、簡単すぎないか」 そう言いながら魔法陣の上に立つ。 「これで目を瞑ればいいんだな?」     
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