0人が本棚に入れています
本棚に追加
報・連・相
「明日の休み、出かけはるんですか?」
ロッカーで着替えていると、部下が聞いてきた。
「家でゴロゴロだな。おまえは出かけた方がいいぞ。出会いは大事だ。私と女房の出会いは呉の」
「あ、いやぁ、僕、相手がいますから」
いかつい男が頬を染めてもかわいくない。
「ということは、うまくいったんだな。報告は?」
先日、意中の人を射止めたいからと懇願してきたから、アドバイスを授けてやったのだ。
「あ――申し訳ありません! おかげさまでうまくいきました。ありがとうございます!」
いいヤツだが、報告・連絡・相談がいつも遅い。
「今後は、報・連・相を怠らないように」
「はい!」
敬礼する部下に手を振り、私は帰路についた。
休みは家にいるつもりだったが、最愛の娘に「ドライブに行きたい」と言われたら疲れも吹き飛ぶ。単身赴任が多かった私は、娘に激甘なのだ。
ハンドルを握る娘の横顔を見つめる。一般的評価は「普通」だが、私には天使に見える。
最初のコメントを投稿しよう!