報・連・相

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報・連・相

「明日の休み、出かけはるんですか?」  ロッカーで着替えていると、部下が聞いてきた。 「家でゴロゴロだな。おまえは出かけた方がいいぞ。出会いは大事だ。私と女房の出会いは呉の」 「あ、いやぁ、僕、相手がいますから」  いかつい男が頬を染めてもかわいくない。 「ということは、うまくいったんだな。報告は?」  先日、意中の人を射止めたいからと懇願してきたから、アドバイスを授けてやったのだ。 「あ――申し訳ありません! おかげさまでうまくいきました。ありがとうございます!」  いいヤツだが、報告・連絡・相談がいつも遅い。 「今後は、報・連・相を怠らないように」 「はい!」  敬礼する部下に手を振り、私は帰路についた。  休みは家にいるつもりだったが、最愛の娘に「ドライブに行きたい」と言われたら疲れも吹き飛ぶ。単身赴任が多かった私は、娘に激甘なのだ。  ハンドルを握る娘の横顔を見つめる。一般的評価は「普通」だが、私には天使に見える。     
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