手紙

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手紙

初めて見た紙は一通の手紙だった―  西暦3000年を過ぎた頃、木を伐採して作られる製品は環境破壊に繋がっていると言われ作られなくなっていた。そのため、紙は希少価値が高い物となっていった。 売れば何千万ともする紙が、教室の机の横にかけておいた鞄の中に入っているとは誰が思うだろうか。 思わず、周りを見回してしまう。 だが、教室内には誰もいない。 それもその筈、時刻は夜の11時をとっくに過ぎている。高校生以下は見つかれば補導されてしまう時間だ。 つまり、すでに生徒は家に帰っているはずなのだ。不良と言われる人は補導時間など気にせずに今も外を出歩いているかもしれないが。 だが、中戸 駿はその様な世間体を気にしない不良などではない。どちらかというと、真面目という部類には入る人間だと思う。 では、なぜ夜の学校に来ているかというと… 「ただの罰ゲームだった筈なんだけどなぁ」 そう、駿は放課後に友人とやった対戦型のゲームで負け、罰ゲームをするためにここに来た。     
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