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「上坂要一、と言います」
要一さんは、ゆっくりと僕の横に立ち、僕の肩に手を置いた。
よーちゃんは要一さんの顔を凝視し、やがて現実を受け入れられないのか、「俺に振られたのがショックで、俺にそっくりな男を見つけてきたのか……」などと見当違いなことを呟く。
「……いいえ?
僕はただ、間違えただけ。
顔が似ていたので、間違えたんです。
子供で、自分がオメガとも知らぬ時のことでしたから。
だから。
僕が恋したのは、最初から要一さんでした」
僕がそう言うと、要一さんは嬉しそうに僕の瞳にキスを落とした。
嬉しくて、胸が震えた。
僕は要一さんの胸に甘えるように体を寄せた。
「………馬鹿な……!!」
呆然とするよーちゃん。
でも、これ以上よーちゃんと話すことはない。
「お引き取りを」
僕がそう言うと、よーちゃんは両脇を警備員に抱えられるようにして去っていった。
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