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よーちゃんは僕のことを忘れてたみたいで、ものすごくびっくりとした顔をしてた。
「よーちゃん、僕、優羽だよ?
忘れちゃった?」
僕が尋ねると、よーちゃんは表情を硬くして、「お前なんか、知らない」と呟いた。
……ようちゃん、僕のこと、忘れちゃったのか……。
それから僕は、よーちゃんの名前が賀集耀凱だってことを教えてもらった。
よーちゃんは僕の父の弟で、要人叔父さんの一人息子だった。
そして僕たち二人の様子を見ていた、要人叔父さんが急に、「そんなにうちの耀凱が好きなら、結婚するか?」と尋ねてきたから、僕は本当にビックリした。
「えっ……僕、男の子だよ?」
「ああ、そうだな。
普通の男の子は同性とは結婚できない。
だけど……、優羽は8歳にしては体も小さいし可愛い顔立ちだから、多分、オメガだろう。
だから、耀凱とだって、結婚できるぞ?」
「お、め、が……?」
初めて聞く言葉に、僕は何度も瞬きをした。
おめが……おめがって何?
どうして男の子同士が結婚できるの?
「僕……よく分からない……」
そう答えた僕だったけど、そのあと僕とよーちゃんは、父さん同士の話し合いの結果、婚約することになった。
いろんなことが分からなくて、不安で、頭がぐるぐるした。
だけど結局、オメガについてそれ以上のことは誰も教えてくれなかった。
その謎が解けたのは、ずっと後のことだった。
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