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お祖父ちゃんの屋敷で初めて会った時のことを思い起こしてみれば、僕はボール遊びをしていて、離れの小さい庭に足を踏み入れた時だったように思う。
母が双子を妊娠していることが判明したころから、大事を取って臨月には入院し、その間の僕はお祖父ちゃんの家に預けられることは決まっていた。
だけど母が体調を崩したため、その予定は早められ、僕は当初の計画より2週間も早くお祖父ちゃんの家に預けられたのだ。
最初の一日は泣いたりしたみたいだけど、もともとお祖父ちゃんの家に遊びに行くと聞いていたこともあり、翌日からの僕は用意されていたたくさんのおもちゃやお菓子に誤魔化されて、随分のんきにお祖父ちゃん家ライフを過ごしていたらしい。
特に気に入ったのは、表面がキラキラ虹色に光って中から鈴の音のするボールだった。
詳しいことまでは僕はまるで覚えていなかったんだけど、よーちゃんの話によると、お祖父ちゃん家の立派な日本庭園でメイドさんたちに見られながらボールを飛ばしたり転がしたり遊んでいた僕は、ボールを投げた拍子に庭園の一部である小川の中に落としたらしい。僕はメイドさんの静止も聞かず、ぱっと走り出し、そしてその先で、流れてきたボールを偶然小川から拾い上げたばかりのよーちゃんと、出会ったんだ。
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