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■ワタシ■
――ああ、今日もキミは来てくれたんだね。
ワタシがこの小さな社に住み着いてもう五十年以上になる……か。
ワタシ達『妖』にとって、こんな時間はほんの少ししか感じないんだけど。
キミ達にとっては、とてつもなく長い時間なんだろうね。
……だからかな。あの美しかったキミの肌が、しわくちゃになってしまったのは。
でもワタシはそんなキミも美しいと思うよ。
下手でも化粧はするし。
こんな辺鄙な所にある社にまで足を運んで。
こうして……“視えない”ワタシに向かって手を合わせてくれるんだから。
だからワタシはこうして良い気分でキミを見ていられる。
――――だけど。
キミはちょっとだけワタシに向かって手を合わせるとそのまま帰ってしまう。
ワタシは……それがほんの少しだけ寂しい……
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