■私■

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■私■

「…………おばあちゃん。苦しいの?」 「ほんの少し、ね。でも可愛い孫がこうして見舞いに来てくれるんだから、おばあちゃんはこうして頑張れるんだよ」  そう口で言っても、私の身体は私の意思に逆らうように、頑なに抵抗する。  だけどせっかく可愛い孫がこんなしわくちゃな、ほとんど迷惑の塊でしかない老婆の為に足を運んでくれたんだから、せめて元気な姿でも見せないと、娘に怒られてしまう。  平常な顔を装って、今にも病院のベッドに倒れそうになる身体を何とか起き上がらせて、私は孫の頭を撫でる。 「ほら、頑張れるだろう?」 「うん! おばあちゃん、早く元気になってね!」 「そうだね。早く元気にならないとね」  ――嘘だ。私は今、孫に嘘をついた。  私の身体を蝕む病魔が、今更私の身体から出て行ってくれるわけがない。  例え出たとしても、その時の私はもう死にかけの婆だ。  ――ほんの少ししか生きられない。  ――元気になれるはずもない。  そんな私が、孫や娘の厄介になるわけにはいかない。  今でも娘夫婦の厄介になっているけど、この子だけは……
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