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「拾ってきた」
「貴方というお方は……」
やれやれといった様子の男を無視し、自分を担いでいる男はようやく瑠璃を地面へとおろした。
「い、一体なんなんですか!!」
男へと振り返り声を上げると、男の顔が驚くほど近くに近づけられた。
あんなことがあり気づかなかったが、男の右目には眼帯がされており、左目はとても綺麗な青色の瞳をしている。
顔立ちも整っていてカッコイイ人だが、何よりもその青い瞳に目を奪われていると、男の口角が上がった。
「俺に惚れたのか?」
「ッ、違います!!それよりも、助けていただいたことには感謝しますが、私はこれからしなければならないことが────」
あるので失礼しますと去るつもりが、突然瑠璃の体は宙に浮き、黒い馬の背に乗せられてしまう。
すると、眼帯の男も黒い馬の背に跨がり手綱を掴むと、城へ戻るぞと言い残し馬を走らせ、その後を、もう一人の男が白い馬に乗り追いかけてくる。
それからしばらくするとようやく馬が止まり、目的地についたことを知らせる。
伏せていた顔を上げると、目の前には大きなお城がある。
眼帯をした男は馬から降りると、瑠璃を持ち上げ軽々と下ろしてしまう。
「政宗様!!」
「おお、やっと来たか。遅いぞ小十郎」
ようやく追い付いてきたもう一人の男が馬から降りると、その視線が瑠璃へと向けられた。
ギロリと睨まれ後退りそうになると、小十郎と呼ばれていた男は視線を政宗へと向けた。
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