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大谷柊也サイド
「ねえ、大谷くん。私、君とキスする夢を見たよ。」
「えっ…?」
一学期の修業式を終えた放課後。
俺、大谷柊也は野球部の練習中だった。
今朝のニュースで、今日は猛暑日だと言っていた。
ギラギラと照りつける太陽は容赦ない。
だからといって、練習がなくなるわけはなく。
何度拭いても止まらない汗を拭いながら、いつも通りさっぱりと頭を洗おうと思った休憩時間。
水道へ行くと、突然水瀬さんが現れた。
「ねえ、大谷くん。私、君とキスする夢を見たよ。」
「えっ…?」
水瀬さんは、彼女の親友だ。
「ふふっ。るなに怒られちゃうね!」
突然の思いもよらない言葉に、上手い返しができない。今の俺、すげー間抜けな顔してる。そうとしか思えない。
水瀬さんはいたずらに笑ってる。
でも、なんて返したらいいんだ…?
「じゃあ大谷くん、またね!野球ばっかじゃなくて、ちゃんと宿題もやるんだぞー!」
「おー。」
なにが、おー、だ。俺。
話せて嬉しかったくせに。
ちゃんとしよう。
本当は前から水瀬さんが気になってた。
るなとは、きちんと話して別れよう。
それで、水瀬さんに伝えよう。
好きだって。
あー…彼女の親友とか、最低だな、俺。
水瀬さんも呆れるだろうな。
でも。
やっぱり好きだ。あの笑顔。
「大谷ー!休憩終わるぞー!」
やべっ。
二学期、始業式に水瀬さんに言おう。
絶対。
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