2章 新入部員

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2章 新入部員

 人は見た目で第一印象がほぼ決まるらしい。  ということは、あからさまにけだるげなこの新入部員の態度に、私たちが好感を覚えられなかったのは仕方がないことだと思う。  その上間延びした妙な喋り方をするから、発声には人一倍うるさい私としては不快感満載。  それでもせっかくの新入部員なんだから優しくしてあげなきゃと思い直し、入り口近くにまだ立っていた彼に話しかけてみた。 「上靴はここの棚に入れてね」  弓道場は入り口で靴を脱ぐことになっている。脱いだ靴をどこに片づけていいのか分からないのかと思って下駄箱を指し示したのだけれど、城田君は私の顔をまじまじと見つめてきた。  あ、もしかして……と私が咄嗟に右耳へ手を伸ばしかけたら「先輩、可愛いっすね」とからかような口調で囁かれた。 「え……」 「こら、さっさと中に入れ。後ろがつっかえてるぞ」  裕太君の注意が飛んでくる。  確かにこの時、城田くんの後ろから他の新入部員たちも集まって来ていた。高一は彼だけで、後の五人は小柄で幼い顔立ちをした中学一年生たち。男の子が三人に女の子が二人。去年の中一は男女一人ずつだったから、今年は結構多い方だ。  初めての弓道場におどおどした様子の一年生たちに押し込まれる形で室内に入ってきた城田君は「主将はおっかない感じっすね」と笑いながらまた私に囁いてきた。  でもその小さな声を聞き取れなかった私は、先ほどと同じく曖昧な笑みを浮かべてその場をごまかしたのだった。  その後マユちゃんが不在のまま、主将の裕太君は新学期最初のミーティングを始めた。  顧問のあべっちも呼んで来て弓道場でみんなが輪になって座り、まずは自己紹介から。
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