1章 二年目の新学期

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「仕方ないじゃん。まさか国公立理系が2クラスに分かれるほど希望者が出るなんて思ってなかったんだもん。運が無かったんだよ」  高二からは進路別のクラス分けになる。同じことを書いておけば一緒になれると思い込んでいたのだから、その期待の分だけ落胆が大きいのは当然だけど、これは私たちにはどうしようもないことだ。  裕太君は仏頂面で卵焼きを飲み込んだ。 「運の問題じゃない」 「え?」 「あべっちの陰謀だぜ、絶対。自分だけ独り身で寂しいから妬いてるんだ」  裕太君は腹立ちまぎれに、日頃お世話になっている顧問の阿部先生に対してまで文句をつけ始めたから、私は笑ってしまった。 「あべっちがそんなことするような先生じゃないのは、付き合いの長い裕太君が一番よく知ってるじゃん」 「だってさ……」 「私は同じクラスじゃなくてもいいよ。お昼にこうやって裕太君と二人で過ごせるんだから、それで十分幸せ」  本当に。心からそう思う。  去年の春、この立共学院に入学したばかりの時はこんなに楽しく学校に通えるなんて夢にも思っていなかった。  今の私の幸せは、全部裕太君ででき上がっている。 「ちょうど一年前だよね、私たちが出会ったのって」  私は壁に掛けられたカレンダーへ目を向けた。  今日は新学期最初の部活動日だ。  裕太君は中学へ入学した当初からずっと弓道をやっていて、そこへ高校から編入してきた私が入部してきた。つまり今日は私たちが出会ってからちょうど一周年記念日ってことになる。  懐かしさが込み上げて来た私は彼に聞いてみた。 「ねぇ、私の第一印象ってどんなだった?」
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