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小澤はおれたちをレイコの部屋に連れていく。レイコは女性ということもあり、個室に泊まっていた。
小澤がそっとドアを開けると、隙間から、裸をシーツで隠しただけのレイコの姿が目に入る。ベッドの上、からだを半分横たえるように力なく座り、茫然とした表情で宙を見つめている。
小澤はすぐにドアを締め、「今はそっとしておこう」
「どうしたんだ?」おれは小澤に尋ねる。
「ペックだ」
「ペック?」
「ペックがレイコをレイプした」
「うそだろう!」おれは興奮を抑えきれずに言う。
「しっ、大きな声を出すな」
小澤の話によると、レイコは外出先からペックに抱えられるようにして帰ってきたらしい。心配になってそっとついていくと、二人はレイコの部屋に入っていったという。
「声をかけなかったのか?」おれは小澤に言う。
「ああ。かけなかった」
「なんで?」おれは小澤を責めるように言う。
「二人がそういう関係だったら、声をかけるのは悪いだろ」
確かに言われてみれば、最近レイコはペックとずっと一緒にいる。男女の関係になっている可能性もないとは言えない。
「でも、何か胸騒ぎがしてしばらくしてからまた様子を見にいったら、ちょうどペックが部屋から出てくるところだった。そのときのペックの顔が変だったんだ」
「どんなふうに?」おれはこわごわと聞く。
「ギラギラしているというか、残酷な感じというか、普段ぼくたちに見せるのとは、まったく違う顔をしていたんだ。それでレイコの部屋に入ってみると、裸のまま泣きじゃくっていて……」
小澤は思い出すのも辛いという表情になるが、懸命に話を続ける。
「ぼくはレイコにシーツにかけ、落ち着くのを待った。しばらくしてレイコは何があったか少し話してくれた。どうやら、ペックに店でバングラッシーを飲まされたらしい」
「バングラッシーって大麻入りのヨーグルトか?」とおれが聞く。
「ああ。けっこう強いものだったらしく、レイコは意識があまりない状態でペックのされるままになったらしい。だが、それ以上レイコは話したがらない。無理もないことだ」小澤は沈痛な顔で言う。
「どうする?」おれは小澤に尋ねる。
「このまま日本に帰るわけにはいかないだろう」
「警察を呼ぼう」宮田が言う。
「レイコは呼ばないで欲しいと言っている。これ以上傷つきたくはないと……」と言って小澤は宮田を制止する。。
「じゃあ、どうするんだ?」おれが言う。
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