密室の彼

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「居たら、もう出てきてますよ。  猫、好きなんですか?」 「だって、可愛いじゃないか」 とだけ蒼汰は言う。  単純明快だな、と思った。 「私も猫好きです。  犬も好きですが。  猫は昔飼ってたので。  今でも、時折、にゃーのとは違う毛が何処からともなく出てきて、寂しくなるんですよね」 「……死んだのか?」 「違います。  お母さんたちが連れてっちゃったんですーっ。  猫は家につくって言うのに~っ」 と言うと、蒼汰は笑う。 「それならよかった」 と言って。  まあ、会ったことなくても、話の上だけでも、猫に死なれるのは嫌だからな、と凛子も思っていた。
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